ボッシュ好きに悪い人はいないけど、まっとうな人というわけでもない。

ヒエロニムス・ボッシュ (1450-1516) はネーデルラントの画家さんです。オランダね。
この人の絵は見る人によっては悪趣味と取られるかもしれないでしょうね。
グロテスクな化物が跳梁跋扈し、人間を責め立てる。仏教画で言うところの地獄絵みたいな作品。
あるいはウィットに富んだ風刺性、娯楽性の点から百鬼夜行絵巻の方が近いかも。
その細部にわたり謎と怪奇に満ちた作風は、嵌まると一生モノの出会いになるほどのインパクトがあります。

ボッシュは、こんな人にお薦め。
澁澤龍彦の衒学趣味に心ときめく人。
King Crimson の 『Starless』 を1日1回聴かないと気がすまない人。
夢野久作 『ドグラ・マグラ』 を3回以上再読した人。
NHKがディスカバリーチャンネルみたくなればいいのにと思っている人。
『ダ・ヴィンチ・コード』より『薔薇の名前』の方が好きな人
和洋を問わず中世が大好きで独自に研究したことがある人。
このうち1個でも思い当たる節がある方はきっと気に入ると思います。
まあ、こういう人は薦めるまでもなく知ってるか。

百聞は一見に如かず。
右記のリンク先でボッシュの作品と解説を観ることが出来ます。  →  salvastyle.com
まだボッシュ未体験の人は、これを機に一度ご覧になって見ては?

で、話は変わってペーパークラフトなんですが、
今回はこのボッシュさんの絵の中に登場するモンスターを作ってみました。
下の写真がそのモンスター。

『快楽の園』の右パネル最下部に描かれているパートです。
豚の僧侶が男に契約書にサインさせようとして、兜を被った鳥の化物がインク瓶を差し出している。
その解釈はここではさておき、とりあえず兜の鳥がかわいいのです。
見上げる角度、プリンとしたお尻に刺さった矢、兜にくくりつけた生々しい足首。
絶妙すぎる。
便器に座るサタンと比しても甲乙つけがたいキャラですな。
そんなかわいらしさを損ないたくないものだと考えつつ作ってみました。

ディテールに目をつぶれば、なかなかカワイイです。自画自賛かよ。

鳥かごから餌を求める雛鳥のようです。ピヨピヨ言ってそうです。

お尻を突き出した感じがなんとも微笑ましい。大きさはこんなもん。



制作難易度は少々高めかもしれません。
勢いでモデリングして、そのまま展開してしまったので作り手のことに気を回す余裕がありませんでした。
それでも挑戦してみたい方は、どうぞ展開図をダウンロードして作ってみてください。

展開図のダウンロード

展開図データは、pdo 形式ファイルまたはbmpイメージで公開しています。
pdo形式のファイルをご利用になるためには ペパクラビューワー(無償) が必要です。
お持ちでない方は公式サイトよりダウンロードしてインストールしてください。

  ←こちらからどうぞ


データの無断掲載・転載・配布、営利目的での使用を禁じます。

pdo形式(折り線ありヴァージョン)


pdo形式(折り線なしヴァージョン)


bmp(折り線ありバージョン)


bmp(折り線なしバージョン)



制作に必要なもの

A4サイズの厚みを持った紙。
今回使用した用紙はKOKUYOの厚紙用紙。
厚さは0.215mmのものですが、もう少し薄く柔らかでこしのある紙なら、より曲面が見栄えのよいものとなると思います。


制作に取り掛かる前に

ペーパークラフトの制作は、カッターナイフ等を使った細かい作業を必要とします。
作業と作業の間ではカッターナイフの刃をきちんとしまうなどして、怪我のないよう十分注意してください。
製作中の事故について、当サイトでは一切の責任を負いかねますので御了承ください。


作り方

ペパクラビューワー、設定>用紙と印刷の設定で、ビットマップ解像度を変更できます。
高解像度、あるいは中解像度でも十分きれいに印刷できると思います。(最高解像度での印刷はパソコンのメモリが少ない場合、非常に時間がかかるか、場合によってはフリーズすることもあります。)
線の太さはお好みで。
表示からのりしろを隣接面の色で塗るにチェックを入れると接合部がきれいに仕上がります。


A-01,A-02,A-03で鳥頭の上半分を作ります。Lは左側、Rは右側の意味です。
続いてA-04,A-05で下半分を作り合体させます。

B-01にB-03を接着します。写真左は前から、写真右は後ろから見た様子です。
以降、後ろから順に形作っていくと作りやすいでしょう。

B-04,B-05を順に接着します。

写真左は前からの様子。最後にB-02で穴を埋めます。

足を作ります。足の裏から上へ向かって作っていくとよいのではないかと思われます。
B-06,B-07,B-08,B-09,B-10,B-11の順です。
出来たら胴体と合体させます

鳥頭と合体です。後ろはのりしろがないので接着する場所に注意してください。

C-01,C-02,C-03で甲冑を作ります。つなげてしまうと鳥頭が通らないので先に着せてから接着しつなげます。

可能な限り隙間が目立たないようにします。このへんは直感でお願いします。

兜を作ります。前からD-05,D-06,D-07,D-08の順です。
続いて側面後ろにD-10を接着します。

D-09で側面を形作ります。
続いてD-01,D-02,D-03,D-04で角を作ります。
出来上がった角を内側で接着します。

D-11,D-12で顎部分を作ります。切れ目があるのは仕様です。

E-01,E-02,E-03,E-04,E-05で前覆いを作ります。
それを兜の側面に接着します。

D-13を表裏貼り合せ、兜の内側で接着します。
なるべく等間隔になるようにすると見栄えがいいでしょう。

F-01,F-02でインク瓶を作ります。よきところへ穴をあけて、たこ糸などを通して下さい。
F-03,F-04,F-05,F-06,F-07で棍棒を作ります。

F-10,F-11,F-12で足を作ります。
F-08,F-09で矢を作ります。

お尻の適当な位置に穴を開けます。
クシャッてならないように丁寧にお願いします。
台を作って、完成です。お疲れ様でした。

制作後記

モデリングMetasequoia
テクスチャ作成Illustrator
展開図作成ペパクラデザイナー2

これまでモデリングにはペパクラデザイナー2付属の六角大王LEを使っていたのだが、今回はメタセコイアに挑戦してみました。
なんということでしょう。この操作性のよさは。
とにかく頂点移動が楽チンで、モデリングにとってはそれが全てなんだよね。
調子に乗って曲げの部分を沢山作ってしまいディスプレイの中では見栄えするのだが、ペパクラ展開したら作るのが大変なことになってしまった。
このデザインと作成難易度のバランスが難しい。自作での課題だな。
そしてメタセコ導入の効用がもう一点。
UV展開によるテクスチャ作成。
六角ではヘルプ見てもググってもテクスチャの貼り方がさっぱりわからなかったのだが、メタセコは1回の練習でほぼ理解できた。
これで表現の幅が広くなるはず。
聞くところによると同じくフリーのBlenderというソフトがUV展開機能が充実しているようなので、これも試してみたい。
自作は木男にしようかな。